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特集

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株式会社 本田商店

特集

美味いをとことん突き詰める。
株式会社本田商店

創業は1921年(大正10年)。酒の小売業から始まり、酒問屋、酒造メーカーへと業態を変える。「良い酒造りは、良い米作り」という信念のもと、良質な山田錦の産地である特A地区、その中でもさらに土壌条件の良い農家と栽培契約を結ぶ。山田錦が育つ土壌に着目し、「テロワール」の違いを意識した酒造りを行うなど、常に探究心を抱き美味い酒を追い求めている。

01

蔵元の想い

Thought

Thought

Introduction

本田商店と山田錦

姫路に蔵を構える本田商店にとって、地元兵庫県で作られた酒米であり、“酒米の王様”である山田錦を使うことは必然だった。
しかしそれ以上に、山田錦にとことん向き合ってきたのは、美味い酒を追い求めるがゆえだ。
同じ山田錦でも、生まれた土地をしっかりと見極め、この酒米はどんな酒に向くのか、どうすれば特性を活かせるのかを探る。
「そこまで考え抜くことが、日本酒をより美味しく飲むための道筋になる」と当主の本田龍祐氏は語る。

CHAPTER 01

珍しい“駅前の酒蔵”
小売業から始まった酒造への道

龍力の創業は1921年(大正10年)。初代の兄が酒造りを行っており、その酒を販売する小売店を網干駅前に開いたことから始まった。
しばらくすると、店が駅前にあることから、列車で運ばれてきた酒を地元の酒屋に卸す問屋業へと変遷。その後、地主や取引先などから「米を貸そう」「酒造免許を貸そう」と援助を受けて、酒造りに取り組むことになったという、なんとも稀有な始まり方をした酒造メーカーだ。
2代目は大手の酒を造るOEM事業を行い、3・4代目で大吟醸造りに取り組み、現在は5代目。「もともとは小売業だから、会社名が本田酒造ではなく本田商店なのです」と当主の本田龍祐氏は語る。
「龍力(たつりき)」の銘柄は、真言宗の始祖で、数百年生きたとされる龍樹菩薩にあやかり命名された。龍樹菩薩の力を借りながら、長命をもたらす酒を造りたいという初代の思いが込められている。

CHAPTER 02

山田錦を選ぶ理由
地元にある最高の素材を使うのは当然

一言でいうと「地元の素材だから」。龍力は、兵庫県産の素材を使うことにこだわっている。それは、兵庫の蔵元として、兵庫のことを伝えたいという思いから。その時に、一番良い素材を使うことが最も大切だという考えのもと、兵庫で栽培されており、“酒米の王様”と称される山田錦を使うことは当然だった。
さらに、その中でも高品質の山田錦を生産している特A地区のものを手に入れるようになり、ついには加東市秋津の農家に契約栽培を依頼した。農家と書面による直接契約をした酒造会社は日本で初めてだった。
農家との契約は、良い素材を継続して使おうという覚悟の表れだ。最高の素材を使うということが、龍力の核であり、揺るぎない信念のようなものである。
当主の龍祐氏は、先代から「米の酒は米の味」との言葉を聞いた。やはり最高の米を使うことで、米の味わいがよりクリアな色気のある酒ができるのだと信じている。

CHAPTER 03

これから生み出したい日本酒とは
“美味しい”とは何かを明らかにしたい

好みとは別の、確固とした“美味しい”という基準。それを目指すのが龍力の酒造りだ。「“美味しい”という形はあると考えています。龍力が打ち立てている一つの基準は、後切れが良く、余韻を楽しめる、ということ」と龍祐氏。飲むとスッと味が切れるが、鼻腔や喉の奥、さらに脳裏や味を感じないところで余韻を感じる。そしてその余韻は、やはり素材から生み出される。だから素材を活かすために技術を磨くのだ。それが龍力の姿勢となっている。
もう一つ、“美味しさのピーク”はどこなのか、ということを探求しているのも本田商店ならでは。キーワードは「熟成」だ。先代(4代目)は社長を引退後、熟成酒を、また当代は低温熟成を研究している。これは日本酒にとっては未開拓の分野である。
酒米にこだわるがゆえにテロワールを研究し、美味しさを求めるがゆえ最良の時間軸(熟成)を追い求める。他の酒蔵には見られない探究心とアイデアが、いつか誰もが認める究極の美味しい酒を生み出すかもしれない。

02

拘りの追及

Traditional method

Method

Introduction

土壌こそすべてのはじまり

最高の素材にこだわることで特A地区産の山田錦を選び、さらにその山田錦にも違いを見出した本田商店。
本当に美味い酒を造るため、微細なことまで追いかける同社は、酒米栽培の根幹にある「土」に着目することとなる。
3代目による京都大学大学院での土壌研究と、それを受け継ぎ酒造りへと活用することに成功した5代目。
酒米の育成に大きく影響する土壌・気候・風土、つまり「テロワール」の探求は本田商店にとっての大命題なのだ。

CHAPTER 01

龍力が提唱する「テロワール」

1997年ごろのこと。個別に直接契約を結ぶことで、特A地区の多数の農家から山田錦を仕入れられるようになった本田商店。しかし同じ山田錦なのに、出来上がった酒の味が微妙に違うことに気がついた。
しばらくすると、鑑評会で賞をもらえるのが、あるエリアの米から造った酒だということが分かってきた。その違いは何なのか、一つ一つ調べるうちに、「土」にたどり着いた。 栽培地の土壌の特性が山田錦に反映されている。その結果を受け、3代目の本田武義氏は京都大学大学院で、20年にわたり山田錦の土壌研究に打ち込んだ。その結果、加古川、東条川、美嚢川の集水域別に土壌の特性が違うことを突きとめた。
さらにその成果を当代の龍祐氏が受け継ぎ、酒に結びつけた。土壌特性、気候や風土、それらを包括する「テロワール」という言葉を使い、山田錦が育つ環境の違いを意識した酒造りが行われることとなった。

CHAPTER 02

社地区、東条地区、吉川地区の味の違いとは

山田錦の産地の中で、特に良質な酒米が育つエリアが「特A地区」である。さらにその中でも最高品質の山田錦が栽培されている場所は「特A地区のa」と呼ばれる。それが、加東市の社地区と東条地区、そして三木市の吉川地区だ。しかし、土壌の違いによって育つ山田錦に違いが生まれることから、当然、酒の味わいにも差が出てくる。
社地区の土壌は礫が多く水はけが良い。だから酒米は土壌からの影響を受けにくく、甘みがあって苦みや渋みが少ないという山田錦の品種としての本来の味わいがよく活かされ、まろやかでライトな酒となる。また粘土質で根がしっかりと張る東条地区は、酒米が土壌に含まれるミネラルを吸うことで酸味を感じるエッジの利いた酒になる。吉川地区は、さらにミネラルが濃い酒米ができるので、ボディー感のある酒になる。
社・東条は女性的でやわらか、吉川はしっかりとした男性型のイメージとも言える。

03

代表銘柄

Representative brand

04

会社案内

Company Information

Outline

Introduction

探求と挑戦を続ける蔵元

初代が、酒造りを行う兄の酒を販売するため、小売業を始めたことが創業のきっかけ。
1921年(大正10年)に酒造を開始すると、全量酒造好適米への取り組みや大吟醸酒づくりに尽力する。
酒米生産者と密に連携し最高の米を吟味、玄米からの精米も自社で行うなど酒米の厳選にはとことんこだわる。
より美味い日本酒を生み出そうと、土壌研究や日本酒の熟成など独自の研究を行い酒造りにフィードバックしている。

会社名
株式会社 本田商店
所在地
〒671-1226兵庫県姫路市網干区高田361-1
TEL.079-273-0151 FAX. 079-274-2454
MAIL. info@taturiki.com
創 業
1921年
代表者
本田 龍祐
酒 蔵
龍力(たつりき)

加東市の土壌が育む、最高の酒米

加東市産山田錦と酒